キャリアフィロソフィーの「金融花伝」③:CFOに求められる資質

CEOのパートナーとして、CEOとともに企業経営を適切に遂行し自社の企業価値を向上させることが、CFOの究極の役割であると考えられます。

企業経営を適切に遂行とは、大きくは、①自らの管掌業務を適切に執行すること、②取締役会の構成員として監督機能を適切に果たすこと、の2つの役割に分けられ、①と②の役割を果たすために求められる資質やスキルは、ややその内容や性格が異なるように感じます。

まず、自らの管掌業務を適切に執行するためには、財務会計/管理会計、ファイナンス等に関する専門知識と経理、財務等に関する十分な業務の経験を有することはもちろんのこと、高いコンプライアンス意識、リスク感覚、コミュニケーション力、判断力が必要です。

次に、監督機能ですが、取締役会の構成員として監督機能を適切に果たすためには、上記だけでは不十分です。
全社的な経営判断に関与するわけですので、高いコンプライアンス意識、リスク感覚、コミュニケーション力、判断力が求められることはもちろんですが、加えて自らの専門分野以外の分野を適切に理解する力や、コーポレートガバナンスに関する知見、自社の向かう方向性や課題を大局的に捉える見識、公平性・公正性を重視する価値観などが必要です。
別の視点で申し上げると、監督機能を適切に果たすためには、株主・投資家目線で物事を捉える力があることが求められるということです。

管理本部長の延長線上にあるイメージでCFOを考える向きもあるようですが、上場企業のCFOは思っている以上に、経営者としての資質が求められるものだと捉えておくとよいでしょう。

CFOを目指す人材のバックグラウンドはまちまちで、上記の資質やスキルについて、ある部分は得意であるがある部分は苦手ないし未経験ということはよくあることです。経理は得意であるがファイナンスは苦手、専門分野の実務経験は十分であるがマネジメントの経験が浅い、自社内部のメンバーや監査法人とのコミュニケ―ションは得意であるが投資家とのコミュニケーションは苦手、またそれらの逆のケース、など。

弱い部分を補完できるようなキャリアプランを志向してみてはいかがでしょうか?
いつでもご相談に乗りますよ。

(次回は、「コーポレートガバナンス・コードの「きほんのき」」を掲載予定)